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【ニュースから】音楽教室の著作権問題、ついに解決

執筆者の写真: 那住行政書士事務所那住行政書士事務所

2025年2月28日、一般社団法人日本音楽著作権協会(JASRAC)と音楽教育を守る会は、音楽教室における楽曲使用料に関する新たな合意に達しました。この合意により、音楽教室での教師による演奏や録音物の再生に対する著作物使用料が明確化されました。


各種報道によると、

  • 大人のレッスン:受講者一人当たり年間750円(税別)

  • 中学生以下のレッスン:受講者一人当たり年間100円(税別)


また、普段は管理楽曲を使用しないが、年に数回程度利用する場合(極少利用)には、レッスン単位および曲単位での使用料が設定されることとなりました。個人の音楽教室は徴収の対象外となります。


―これまでの経緯

この問題が大きく世間で取り上げられるようになったのは、2017年にJASRACが音楽教室での演奏に関する使用料規定を文化庁に届け出たことからです。これに対し、音楽教室事業者側は徴収権限がないとして提訴。2022年10月、最高裁判所は「教師の演奏および録音物の再生には著作権料が適用されるが、生徒の演奏には適用されない」との判決を下しました。この判決を受け、両者は協議を重ね、今回の合意に至りました。


これらの報道だけをみていると、ある日突然、JASRACが音楽教室からの徴収を宣言したように思えますが、実は20年以上に渡る法改正も関連した長い歴史があります。


簡単に時系列でまとめますと……

平成12年:著作権法附則14条の廃止

→WTOでECからベルヌ条約違反との指摘を受け、著作権の適用範囲が拡大

平成15年:JASRACと音楽教室の間で使用料支払いについて協議開始

平成23年~28年:フィットネスクラブ、カルチャーセンター、ダンス教室、カラオケ教室などで使用料徴収開始

平成29年:音楽教室事業者が「請求権不存在確認」を求め提訴平成30年6月 JASRACが音楽教室における音楽の利用(演奏等)に関して、使用料規程を届出

→年間の包括的利用許諾契約を結ぶ場合の1施設あたりの年額使用料は、受講料収入算定基準額の2.5/100の額とする。

平成31年4月 JASRACが音楽教室における音楽の利用の著作権管理を開始。(ただし楽器メーカーや楽器店が運営する楽器教室を対象。これらの教室の管理水準が一定のレベルになるまで、当分の間、個人教室については管理の対象とはしない)


令和2年2月 東京地裁判決

令和3年3月 東京高裁判決

令和4年10月 最高裁判決


という経緯があります。当初の使用料規程からはだいぶ、金額が縮小されたように思います。法廷で争うということになると、どうしても感情的対立の側面を意識してしまいますが、今回の争議に関しては、お互い、法的論点が出し尽くされ、どういうどういう法の適用が正しいか裁判所が判断し、その上でお互いが納得できる協議が出来たということで、双方にとって良い結果になったのではと思っています。


―今後の展望

新しい規定は2025年4月から施行され、音楽教室事業者は2018年4月の管理開始時点に遡って使用料を支払うこととなります。今回の合意により、音楽教育現場での楽曲使用に関する不透明さが解消され、著作権者の権利保護と音楽教育の発展が両立することが期待されます。


著作権管理団体であるJASRACの目的は、音楽著作権者に適切な報酬を還元し、創作活動を持続可能にすること にあります。一方で、音楽教育は次世代の音楽家や愛好者を育てる重要な役割を担っており、過度な負担がかかると文化の発展に支障をきたす可能性があります。

今回の合意では、

  • 個人音楽教室は徴収対象外とすることで、小規模教室への影響を軽減

  • 金額を受講者1人あたりの定額制とし、明確な基準を設定

といった点が考慮され、適切なバランスが取られたと考えられます。


その上でさらにJASRACに対応して頂きたいのが、音楽教室から徴収した著作権使用料について、収益分配の仕組みをわかりやすけ説明していただくことが重要であると考えます。


今回の合意は、単なる「JASRAC vs 音楽教室」の問題ではなく、日本の音楽文化をどう支えていくかという大きな議論の一環 です。今後も、文化の発展と権利の適正な管理のバランスを見極めることが重要となるのではないでしょうか。


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 ・請負契約書

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  ・出版社、著作権管理団体への届出

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