暮らしに役立つワンポイント法務。日々の生活、皆様の事業で役立つ話を更新していきます。
相続はある日突然やってきます。そしてどんな人にもやってきます。いざ相続が始った時、どのような手続きをとっていったらよいのか、具体的にお話を続けていきます。
今日は「戸籍の収集について」についてのお話です。
相続人を確定させる=戸籍謄本等を収集する
亡くなった方(被相続人)の財産は、一定のご家族、親族の方(相続人)に相続されることになりますが、どなたが相続人にあたるのか、公的な書類で証明する必要があります。そのために相続が発生した際、必ず必要となるのが戸籍謄本等を集める作業です。集めた戸籍謄本は、不動産の手続きでも、銀行の口座に関する手続きでも、相続のあらゆる場面で必要となってきます。必要な戸籍、書類は若干異なります。以下はそれぞれの手続きで必要な、大まかな書類一式です。
<必ず用意するもの>
・被相続人の出生から死亡までの連続した戸籍謄本
(相続人を確定するため「改製原戸籍」「除籍謄本」「全部(個人)事項証明書」の取得。)
・相続人全員の被相続人が亡くなった後に発行され戸籍謄本
・相続人全員の印鑑登録証明書
・遺産分割協議書または遺言書
<不動産の名義変更>
・被相続人の住民票の除票または戸籍の附票
・固定資産税評価証明書
・住民票(不動産を取得する相続人のもの)
・登録免許税(不動産の固定資産評価額に1000分の4を掛けて計算した額)
<預貯金・有価証券> (金融機関に対する届出)
・各金融機関所定の届出書
(通常は、相続人全員の署名・実印の押印が必要です)
<兄弟姉妹が相続人になる場合>
・被相続人の両親それぞれの出生から死亡までの戸籍謄本
<相続人が無くなっている場合>
・代襲相続(例=親の相続の時、子が既に亡くなっていて、孫が相続する場合)には、被代襲者(例の場合は「子」)の出生から死亡までの戸籍謄本、代襲相続人(例の場合は「孫」)全員の現在の戸籍謄本
戸籍謄本の収集はどこに手続きをするのか
戸籍謄本は本籍地の地区町村役場で入手できます。まずは、相続人、被相続人とも現在の本籍地で、現在の戸籍謄本を取得して頂くことになります。ただ戸籍は「転籍」等により、移動します。そこで過去の戸籍謄本等が必要な場合は、現在の戸籍謄本から、転籍等の記録を読み取り、過去、本籍地のあった市区町村に対しても、請求する必要があります。
遠隔地の場合は、郵送で請求することも可能です。
戸籍が移動するとは?
戸籍は一定の事由により移動することとなります。また法律の改正により新たに作成されることもあります。以下は、主な転籍等、また法律の改正により新しく戸籍が作成された理由になります。
(身分行為)
・婚姻、離婚
・縁組、離縁
・家督相続(旧民法当時の制度)
(戸籍手続)
・転籍(本籍地の変更)
・分籍(単独での戸籍の編成)
(法改正)
・ 昭和32年法務省令第27号による改製(家制度の廃止に伴う戸籍の改製)
・平成6年法務省令第51号による改製(コンピューター化に伴う戸籍の改製)
戸籍の広域交付について
令和6年3月1日から、法改正により本籍地以外の市区町村窓口でも、戸籍証明書等を請求(広域交付)できるようになりました。これは法務省が運用する戸籍の副本参照システムを利用して、各市区町村窓口で遠隔地の戸籍謄本を入手できる制度です。
メリットとしては、遠隔地の戸籍を郵送で何度往復してとることなく、一か所で取得することができるので、大幅に時間が短縮できることになります。
ただ、どこの市区町村から取り寄せるかなどは、申請者本人が自分で戸籍から読み取る必要があります。また一部の自治体では即日交付を行っておらず、2回足を運ぶ必要があります。また広域交付は本人以外は申請できず、代理人による請求はできません。さらに通常の戸籍請求より厳格な本人確認が求められるため、健康保険証や、年金手帳などでは本人確認書類と認められません。請求できる範囲も父母の戸籍から除籍した兄弟姉妹の戸籍謄本等は請求できないなど、制限もあります。
迷ったら、行政書士にご相談ください
重要なのは、焦らずに必要な情報を集め、適切に手続きを進めることです。相続は、人生の大きな節目の一つです。手続きをスムーズに進めることで、故人の遺志を尊重し、遺族が新たな一歩を踏み出せるよう、しっかりと進めていきましょう。
また、日頃から遺言書を作成し、相続財産の把握を行っておくことも大切です。これにより、相続が発生した時にスムーズに手続きを進めることができます。相続について不安がある方は、早めに行政書士等専門家に相談し、適切な準備を進めることをお勧めします。
今日は、「戸籍の収集について」についてご説明しました。さて次回は、「法定相続情報一覧図について」ついてご説明します。
初出2024/8/22
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